寺の活動は多方面に及ぶ。なかでも葬儀は代表的なものの一つで、それは多くの方々の要望でもある。
喜びも悲しみも分かち、励まし慰めあって生きてきたかけがえのない人、その生きた証のために、また残された者の悲しみを癒す意味でも葬儀は丁寧に営みたいもの。死を軽く扱うことは生も軽んずることになりませんか。
近親葬、家族葬が多くなりましたが基本的事柄は変わりません。また経費節減を考えるケースにはそのための提案も用意している。 檀徒または加入希望者には基本法号(戒名)の信士・信女号を無条件で授与。お布施は定額ではなく、一応の目安はお示しするものの、増減いづれも可能で巾があり、喪家の思いや事情におまかせしている。 「自分の葬儀はこうあってほしい、の思いをもって儀式執行にあたること」をコンセプトとしている。 大法寺の葬儀は心がこもり、わかりやすいという声をいただく。
ここに、一連の葬儀の流れをお示しする。 なお、慣例しきたりとして行なっているものの、その意味を知らない若い世代のために、故人に向き合う心構えも含め解説をし読経を始めている。
一、枕 経
訃報が入ると弔問と打ち合わせを兼ねて喪家に伺い、御本尊の軸を掛け家族と共にお題目をお唱えする。「臨終経」ともいう。「生死の苦より解き放たれ安らぎの境涯におもむく」ことを祈ります。
二、通 夜
火葬前日の夕刻に家族・親族などの主だった方々と行う。故人の容姿、生前のことどもを心に刻み、別れを惜しみ、悲しみを分かち合う。住職は写経や花を、参列者も花やメッセージカードを棺に納め供養の一つとしている。枕経および通夜の折に故人の履歴や人柄、エピソード(逸話)などを聞き法号(戒名)字選や歎徳引導文たんどくいんどうもん(故人の徳をたたえ仏の世界へと導く言葉)の資料とする。
三、自宅出棺
棺が自宅を出る際の供養。 永年住み慣れた家に寄せる思いは深く大きく、そのとらわれ(執着)の心を浄めるものとされ、故人にとっては我が家との別れである。
四、火 葬
「荼毘だびに伏す」ともいう。 点火の前、参列者の焼香の間に読経をして遺族と共に見届け、見送っている。希望があれば収骨までの待ち時間に法話を聞いていただいている。
五、収 骨
「骨上げ」とも言うが住職もお骨を拾い、お題目を唱え功徳を手向たむける。
六、葬 儀
お別れでもあるがこの世から送り出いだす意味あいが大きい。 式次第と経文のリーフレットを配布して参列者と共に読経する。 故人の生涯と業績を述べ、労苦をねぎらい、その徳をたたえて、引導(故人を仏の世界へと導く言葉)を渡す。聞いてわかりやすい平易な表現を心がけている。
七、追悼法話
追悼のことばと思い出を語り、法号(戒名)の出典とその意味を解説し、また悲しみに対処する道筋などをお話して、取り越し(繰り上げ)の初七日忌を営む。葬儀と初七日で所要約1時間前後。
葬儀は心を込めてその人にふさわしいものとなるよう、また悲しみに寄り添う心を形にあらわし、上記のような一連の儀礼執行に努めている。